外科学会〜第三次試案についての特別企画〜

カテゴリー: 医療事故調

今回の外科学会では、第三次試案についての特別企画が行われた。先日のエントリー「外科学会の第三次試案に対する声明」で書いたように、オレも聞きに行って来た。ただ、ちとヤボ用があって途中からだったケド・・・。

で、聞いた内容をレポートしてみる。内容的にはいつもお世話になってる僻地の産科医先生のブログ「産科医療のこれから」のエントリー「第三次試案に関する日本外科学会総会抄録集」とほとんど変わらない。つか、私がレポートした内容が僻地の産科医先生んとこのネタ元だったりする。

以下、外科学会のプログラムより一部引用。
http://www.c-linkage.co.jp/jss2008/jpn/program/SP-4.html

特別企画(4) SP-4
医療関連死調査第三者事業の将来
5月16日(金)15:00〜17:30 第16会場(ホテルニュー長崎鳳凰閣・西)
座長 二村 雄次 愛知県がんセンター
高本 眞一 東京大学心臓外科

SP-4-1 日本外科学会の立場から
高本 眞一 東京大学心臓外科

SP-4-2 日本医師会の立場から
木下 勝之 日本医師会常任理事

SP-4-3 医療過誤における刑事司法の役割
飯田 英男 弁護士,元福岡高検検事長

SP-4-4 医療関連死調査第三者事業の将来 弁護士の立場から
児玉 安司 弁護士,東京大学大学院医学系研究科客員教授

SP-4-5 「医療安全調査委員会設置法」案に対する賛否と今後の課題
古川 俊治 慶應義塾大学外科,参議院議員

SP-4-6 「自律」と「信頼」のために
前村 聡 日本経済新聞社法務報道部

SP-4-7 厚生労働省の立場から
佐原 康之 厚生労働省医療安全推進室長


オレは遅れて行ったので、会場に入った時には木下 勝之 日医常任理事がしゃべってる途中だった。プログラムでは佐原 康之 厚生労働省医療安全推進室長が最後のはずだが、前の方でしゃべったらしく、オレが会場に着いてからはしゃべってない。

とりあえず、聞いてないのはレポート出来んから、外科学会HPから抄録を引用する。

厚生労働省の立場から
佐原 康之 厚生労働省医療安全推進室長

【抄録】
医療の安全の確保は、我が国の医療政策上の重要課題であり、とりわけ死亡事故について、その原因を究明し再発防止を図ることは、国民の切なる願いである。医療の安全を向上させていくためには、医療事故による死亡が発生した際に、解剖や診療経過の評価を通じて事故の原因を究明し、再発防止に役立てていく仕組みが必要である。しかし、死因の調査や臨床経過の評価・分析等については、これまで行政における対応が必ずしも十分ではなく、結果として民事手続や刑事手続にその解決が期待されている現状にある。このため、医療の安全の確保の観点から、医療死亡事故について、医療者が中心となって分析・評価を専門的に扱う機関を設ける必要がある。また、このような新しい仕組みは、医療の透明性の確保や、医療に対する国民の信頼の回復につながるとともに、医師等が萎縮することなく医療を行える環境の整備にも資するものでなければならない。
新しい仕組みについての議論は、平成16年の日本医学会加盟16学会の共同声明以来本格化し、平成17年からは日本内科学会を実施主体としたモデル事業の開始、平成18年には国会の衆参両厚生労働委員会による決議、平成19年からは厚生労働省における有識者検討会の設置また与野党における検討と、順次進められている。5月の定期学術集会においては、現時点の政府における検討状況を説明する予定である。本件は、日本外科学会定期学術集会でも毎年討議されており、引き続き日本外科学会会員の皆様の積極的な議論をお願いしたい。


日本外科学会の立場から
高本 眞一 東京大学心臓外科

【抄録】
医師法21条によって異状死を24時間以内に警察に届け出なければならないという状況が現在の本邦の医療を崩壊へと導くものであるという認識は多くの医師に共有されている。その問題に対して日本外科学会は医学会のなかでももっとも早く問題意識を持ち、その中核となって対応してきた。まづ、平成13年の日本外科学会声明により医療事故報告制度の第3者機関の創設が提案され、その後平成16年の4学会声明、19学会声明へと進み、平成17年からの厚労省のモデル事業へと受け継がれてきた。一応の成果を見たモデル事業の制度化に向けて 平成19年4月に発足した「診療行為に関連した死亡に係る原因究明等の在り方に関する検討会」も13回も会合を重ね、平成20年4月に第3次試案として「医療安全調査委員会」の創設が提案されてきている。
この「医療安全調査委員会」は医療安全のために医療事故の原因究明、再発防止に主眼を置いているもので、個々の事例の責任者を処罰するのが目的ではない。しかし、医療安全を推進していくためには、システムエラーが明らかになれば、個々の施設に対しての行政指導もありうるし、個々の事例において原因究明のなかで関係者の責任が明らかになれば、再教育を中心とした行政処分、学会での処分も考慮に入れなければならないと考えられる。故意あるいは重大な過失、悪質な事例など刑事処分に相当するものも僅かながら存在することも事実であることも認識しなければならない。重大な過失というのは標準的な医療から大きく離れたものを指すもので、結果から判断されるものではない。しかも、それを判断するのは警察や検察ではなく、医療者が8割を占めるこの委員会の役割になっている。すなわち、我々医療者が自律的活動として安全安心なよりよい医療を求める運動をこの「医療安全調査委員会」として行っていくことが求められている。
「医療安全調査委員会」の創設で大切なことはこの事業を通じて国民から透明性のある公正な医療への信頼を回復することであり、また、我々が現在置かれている医師法21条の法律改正をして、安心して良質な医療ができる体制を作ることである。
「医療安全調査委員会」が設立されるまでには細かな仕組みや現実的な対応などまだまだ検討するところはあるが、「医療安全調査委員会」の設立の精神を守り、国民と医療者がともに納得する安全、良質な医療体制を作らなければならない。


とりあえず、遅れて行ったんで、ここまでは聞けていないので、抄録だけで勘弁してくれ。次の木下日医理事からは聞いてきたから、メモを元に、抄録の引用の後でレポートする。

日本医師会の立場から
木下 勝之 日本医師会常任理事

【抄録】
 現在の、医師法21条による警察への届出に始る診療関連死の刑事訴追への誤った仕組みは、新しい死因究明制度の法制化を果たさねば、変わることはないのです。
 具体的には、1.診療関連死が発生すると、医師法第21条により警察に届出ることとなり、医師を刑事事件の被疑者として、捜査が開始される。2.捜査の過程で、医療の専門家の意見を聞く仕組みはない。3.捜査は、個人の責任追及の目的で行われ、医療の質・安全の向上には役立たない。4.医療事故の場合、行政処分ではなく、最終手段としての刑事処分がいきなり発動される仕組みとなっている。5.結果として、医療への刑事介入が過剰となっており、我々医師が安心して医療を提供できる環境にないのです。
 そのための新しい死因究明制度の在り方を、医療界は、日本医師会、日本外科学会、日本医学会、四病院協会から各代表を送り、遺族、弁護士、マスメデイア、刑法学者、法務省、警察庁そして厚労省と共に、真剣に、時間をかけて検討してきました。
 その結果、以下のような改革の方向性が明らかとなりました。
 具体的には、(1)医師法第21条に基づいて警察に届け出るのではなく、第三者機関としての医療安全調査委員会(仮称)に届け出る。このため、医師法第21条を改正する。(2)医療安全調査委員会(仮称)は、警察官・検察官ではなく、医療の専門家を中心に組織する。(3)この調査委員会は、責任追及の観点ではなく、原因究明・再発防止の観点からの調査を行い、明日の医療の質・安全の向上に役立つ議論を行う。(4)医療の内容に問題がある場合であっても、個人の責任追及を目的とした刑事処分がいきなり発動される仕組みではなく、医療安全のための行政処分がまず適用される。(5)行政処分については、病院のシステムエラーの改善指導や、個人に対しても、免許の停止などではなく再教育を中心とした医療の質・安全の向上を目指したものに重点を移す。(6)刑事手続にあたっては、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に対象を限定する。また、捜査当局は、捜査及び処分にあたっては、医療の専門家を中心に組織される医療安全調査委員会の判断を尊重し、その通知の有無を踏まえて対応する。(7)捜査機関へ通知すべき「重大な過失」かどうかの判断は、刑事司法の専門家ではなく、我々医療の専門家に任される。
 このような趣旨を踏まえて、厚労相は法務省と警察庁と協議を重ね、この4月に、第三次試案を発表する予定になっています。
 この試案に基づき、国民的同意のもとで、医療界からの委員を中心とした医療安全調査委員会の設置法案を今国会で成立させて、初めて、今日の診療関連死に対する刑事訴追重視の流れを大きく変えることが、可能になるのです。


ほぼこの通りにしゃべってた。この抄録は第三次試案が発表される前ものだから、第三次試案の内容が含まれてない。だけど、これまでに木下理事が他所で何度もしゃべっているように、第三次試案では事故調を必ず先に入らせ,警察は動かないという厚労省と法務省刑事局との間で覚書を交わしている、という嘘八百をまだしゃべってた。この前の国会で橋本 岳衆院議員がここを質問して覚書なんてないことがバレてるのにな。 こいつはどうしようもない嘘つきだぜ。

あ、この前の国会で橋本 岳衆院議員が質問して嘘を暴いた話は僻地の産科医先生んとこに詳しく書かれているから、そっちも見てほしい。

第三次試案に関する国会質問(>▽<) ..。*♡ by 橋本岳議員
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/04/post-1341-50.html

医療過誤における刑事司法の役割
飯田 英男 弁護士,元福岡高検検事長

【抄録】
1 刑事医療過誤事件は、最近増加したとはいえ年間15件程度が起訴されいるにすぎず、これが医療崩壊の原因であるとする主張には根拠がなく、刑事処分の存在が萎縮医療や診療放棄を招いているとの主張は、刑事医療過誤事件の実態を無視したものである。
 刑事医療過誤事件の内容を検討すれば明らかなように、無謀な事故や未熟による事故、重大な過失による事故などが発生していることは事実であり、このような医療過誤に対して刑事罰を科すことは、刑事責任の目的に照らして相当ということができる。
2 医療は社会的にも有用であり、これに対して刑罰を多用することが有害であることは言うまでもない。しかし、無謀や未熟による事故、重大な過失による事故などはあってはならないことであり、社会的正義の観点からこれを放置することは許されない。刑事医療過誤の対象とする事件は、このような社会的に看過できない過誤であり、医療が社会的に有用であるからといって、このような過誤を刑事処分の適用外とすることは法的な整合性を欠くことになり、到底国民の納得を得ることはできないであろう。
3 刑事処分と医療安全対策は、その目的や方法論を異にするものではあるが、両者は互いに排斥する対立関係にあるのではなく、真相究明と再発防止を目指して互いに協力する関係にあるものと考える。医療関連死の死因究明をめぐる第三者機関の設立は、患者側が最も望んできた医療事故の原因究明を医療者が自らの責任で行おうととするものであり、これが定着すれば、現在危機に瀕している医療者と患者間の信頼関係を回復するためにも極めて有用であり、医療過誤訴訟の減少にも効果があると考える。
 第三者機関が有効に機能するには、組織の中立性、公正性、透明性の確保が不可欠であり、そのためには、患者側代表者の参加と情報の公開(調査報告書の公開と活用)が必要である。また、医療事故の届出の義務化は医療事故の隠蔽を抑止し、患者側の信頼を確保するためには不可欠であり、また、医療機関の院内調査を充実・強化することは、医療機関の自浄作用と責任体制の確立のためにも必要であると考える。


こいつは第三回検討会に出ていたヤメ検弁護士だ。その時から、とんでもない発言ばかりしている。詳しくはロハスメディカルブログの傍聴記を見てほしい。

傍聴記 死因究明検討会3
(1)http://lohasmedical.jp/blog/2007/06/post_690.php 
(2)http://lohasmedical.jp/blog/2007/06/post_695.php 

厚労省資料
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0608-4c.pdf

で、こいつは検察の立場を代弁してるらしい。 ほぼ抄録の通りにしゃべってた。全体として、「医療従事者は刑事責任追求の放棄を求めているが、とんでもない。そのような特権を医療従事者に与えるのは国民の理解を得られることではないし、我々法律家としても受け入れられない」というのを強調してた。

つか、病気を治せなかったらって刑務所にぶち込まれることがないようにして欲しいってことのどこが特権なんだろうな。こいつは頭が悪いか、病気は医者にかかればたちどころに診断がついて必ず治るもんだと思ってるんだろうな。度し難いバカタレだ。

ヤメ検の医療事故調における弊害については紫色の顔の友達を助けたい先生のブログでも指摘されている。こっちも見てほしい。
http://kazu-dai.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_eab7.html

「医療安全調査委員会設置法」案に対する賛否と今後の課題
慶應義塾大学外科,参議院議員 古川 俊治

【抄録】
2008年2月現在、第169通常国会において、「医療安全調査委員会設置法」(以下「本法」という。)案は提出検討中の法案とされており、他の厚生労働関係の内閣提出法案が提出予定とされているのと異なる扱いとなっている。2007年11月の厚生労働省第2次試案に対して、一部の医療関係者から、医療過誤に関する医療従事者の完全な刑事免責、調査委員会からの医療関係者以外の除外、調査委員会の行政庁からの完全な独立等を求めて反対意見が出されていること等から、医療界での議論の深まりを待つ趣旨である。立法技術上は、本法案を内閣提出とするか、議員立法とするかの選択があり得るが、臨床実務における死因究明制度の立場を超えた重要性から考えると、本来は与野党合意の上での委員長提案による議員立法の形をとるのが望ましいと考える。
法案作成の必要的過程である与党審査においては、コンセンサス方式により、各議員が代表する多様な利益状況が包括的に統合される。国民の大多数は医療の受けてである患者であり、他の専門職との均衡や制度の社会的な信頼性、公務員削減政策との整合性等などの観点を欠くと賛同を得難い。もともと第三者事業の端緒となった2004年9月の19学会共同声明でも、死因究明制度の趣旨として医療の透明性確保と信頼される医療の構築が宣言されていた。法案では、1.制度目的は医療関係者の責任追及ではなく、原因究明・再発防止にあること2.調査委員会への届出と医師法21条に基づく届出は重複しないこと3.行政処分は限られた事案について、個人の処分ではなく、システムエラーの改善や教育に重点を置いてなされること4.刑事事件の対象とされるのは故意・重過失等の悪質な事案に限られることなど、医療界の意見に相当程度配慮したものとなっている。また、法案が成立しても、届出対象等に関する具体的基準作りや各ブロックの委員会の委員の選任など、実際に運用するまでにはかなりの準備期間を要する見込みであり、その作業自体、第三者事業同様、医療界の全面的協力が必要である。むしろ、法案を早期に成立させ、医師法21条に係る混乱を収拾し、医療界のイニシアティヴで新体制を整えて実質的に職域の自浄制度として運用していくことが、医療界の国民に対する責任であり、医療の信頼を回復し医療への投資についての国民的合意を形成する好機であると積極的に考えることはできないだろうか。


抄録の時と国会内の情勢が変化しているせいなのか、抄録本文とはかなり違うことを言っていて、第三次試案は内閣提出法案になるらしい。また、「医療界での議論の深まりを待つ趣旨」の話はなく、逆に、もう時間がない、というのを強調してた。政権交代がありうるので、それまでに間に合わせないといけないというのも言ってたな。だけど、今国会での成立は日程的にもうほぼ無理で、秋の国会での成立を目指しているような話もしてた。

それに、ここまで患者側から譲歩を引き出したが、これ以上譲歩させるのは難しく、この状況下で医療側が圧倒的に悪い医療事故が偶発的に起きてしまったりすると、この譲歩がフイになってしまう可能性が高く、急がなければならない、というのも言ってた。

あとやたら強調していた話は、事故調が調査して、故意・重過失が刑事相当として警察に回る仕組みになっているが、この重過失の判断は我々と同じベースの医療界が行うので安心して欲しい、ということだった。

最後に、「事故調の前に(遺族が告訴すると)警察が出てくるのを止めるのは制度上担保されていない。ただ、大臣の国会答弁は記録され、法の解釈論として拘束力を持つので、法案審議の段階で法務大臣を引っ張り出して「警察より先に事故調を入らせるという運用を行っていく」という答弁を引き出す予定で、与党内もこの方向性で意見の集約ができつつある。この答弁を引き出すことが重要なので、ここを重視してやっていく」ってしゃべってた。ここは、あとの質疑応答で、どっかの若い先生が質問して確認してたから、間違いない。

まあ、外科医の先輩なだけに悪く言いたくはないんだが、ツッコミどころ満載!

まず、政権交代が近いからって不十分にしか練られていない制度を見切り発車するんじゃね〜っての。だいたい、重過失の判断を事故調がするって言ってるが、この判断の権限は裁判所にしか与えられていない。事故調が重過失でないって言ったって、警察や検察が重過失だって判断すりゃあ捜査するだろうし、刑事事件として起訴される。で、結局結論出すのは裁判所だから何にも変わりゃしねえ。

だいたい、法務大臣の国会答弁が法の解釈としての拘束力を持つなんて言ってるが、噴飯ものだ。法の解釈をするのは裁判所の仕事だ。一介の法務大臣の国会答弁なんかに裁判所の判断は拘束されない。わざわざ国会答弁させるとかってまどろっこしいこと言ってんのは、条文の中にそうした規定を盛り込めないからじゃね〜かよ。法務大臣が本気で警察の前に事故調を必ず通るようにするつもりなら、条文に盛り込むことに反対するはずがない。国会答弁で〜って言ってるのは、本気でそうする気がないから誤魔化されてるだけだ。

モデル事業の経験から
三宅坂総合法律事務所 児玉 安司

【抄録】
モデル事業(診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業)は、平成13年4月に日本外科学会等が提唱した「公的な中立的機関」の設立に向けて、医療関係者の献身的な努力と法曹の協力により、診療行為に関連した死亡について、診療経過の評価の経験を積み重ねてきた。その経験の中で、とりわけ今後の教訓となるのは、専門家が一般社会に向けて発信する「ことば」の重要性である。
  
1)評価を語る「ことば」
 医療専門職が診療経過の評価を行うとき、どのようなことばで表現するべきか。高い専門性が必要となるとともに、市民やメディア、さらには裁判官などの司法手続に携わる者を含めた一般社会に向けて、わかりやすいメッセージを発することが必要である。「医療の現場で常に後悔と反省を繰り返しつつ診療に携わっている」誠実な医療専門家には、それぞれの診療経過が「誰にでもまた何時でも起こりうる」ことかどうか、明快かつ率直に語ることが期待されている(引用部分は日本産科婦人科学会の「見解と要望」より)。
  
2)制度を拓く「ことば」
 1994(平成6)年の法医学会「異状死」ガイドラインでは、「診療行為に関連した予期しない死亡、及びその疑いがあるもの」を医師法21条に基づく警察届出の対象とした。これに対して、2001(平成13)年の日本外科学会声明では、「診療行為に関連した『異状死』とは、あくまでも診療行為の合併症としては合理的な説明ができない『予期しない死亡、およびその疑いがあるもの』をいうのであり、診療行為の合併症として予期される死亡は「異状死」には含まれないことを、ここに確認する。」と明記された。医療法施行規則9条の23が定める医療機能評価機構への報告制度を経て現在に至る経過の中で、医療安全調査委員会の設置をめぐって、改めて「予期しない」と「予期される」の区別が議論されるに至っている。新しい制度を拓くにあたって、医療専門家の思いを伝えるための「ことば」が求められている。
  
3)信頼を築く「ことば」
 医療における信頼関係を築いていくためには、医療専門家と患者、さらには一般市民との対話がきわめて重要である。それは、決して一方の沈黙を強いる偏頗なものであってはならず、事実を直視した上で、人間の尊厳と誇りを互いに尊重してこそ、信頼を築く「ことば」が生まれてくる。モデル事業や患者相談など、医療界のこの10年にわたる経験の蓄積を踏まえ、信頼関係の再構築に向けて、一歩前に進む対話のあり方が問われている。


まず,10年にわたってモデル事業に関与してきたが,飯田弁護士の話を聞くと,今までやってきたことはなんだったのだろうかという徒労感を覚える,という話から始まった。基本的にこの医療事故調の設立は外科学会が2001年の日本外科学会声明以来、外科学会としての悲願であるということは話していたが、自身がモデル事業に関わってる割には、この医療事故調が出来ればこの医療事故にまつわる医師と患者の軋轢が大方解決すると期待させるような話は全くなく、モデル事業はモデル事業で様々な問題が表面化したのであろうことが言外に窺い知れた。

だったら、第三次試案で満足するなよ。つか、外科学会の御用弁護士のくせに、外科医の役に立つような交渉は一切してないんだろうな。ホント、こいつ使えんわ。

「医療事故調」はなぜ必要か 〜10年の経緯から
日本経済新聞 前村聡

【抄録】 
なぜ「医療事故調査委員会」が必要なのか。ここ10年間の医療事故を巡る動きを取材してきた記者として解答は明快である。「直ちに医師法21条の改正ができない現状があるから」だ。これまでの経緯を振り返りたい。発端は1999年2月に起きた都立広尾病院事件だ。同事件では、過失責任が問われかねない医療事故について、同条に基づく「異状死の警察への届け出義務」が「何人も自己に不利益な供述を強要されない」という憲法38条1項違反かどうかが争点になった。
最高裁は2004年4月、「業務上過失致死等の罪責を問われるおそれがある場合にも、届け出義務を負うとすることは、憲法違反ではない」と結論づけた。この判決で当初は殺人や傷害致死など犯罪の可能性があることを想定して医師の警察への「協力」のはずだった条文が、交通事故の届け出義務と事実上同じ扱いということが確定したのだ。最高裁は憲法解釈の権限を与えられており、一度下した判断は容易には覆らない。
そうならば、医師法21条の改正は可能か。医療紛争の増加で不幸にも一部の医療者と患者の間に根強い不信感が渦巻いている中、国民的な合意に達しないのが現実だ。この現状認識を共有できないと、全く議論にならない。
事故調を巡る議論では「拙速だ」などという指摘もある。だが、決してそうではない。都立広尾病院事件が起きた1999年以降の議論という10年近い過程で、医療者も加わって考え抜いた一つの結論という視点を忘れてはいけないと思う。
今、どのような視点で考えるべきなのだろうか。そのキーワードは「専門家の自律」だ。現状は、司法解剖に基づく警察の捜査によって、医師法によって認められた医療行為が刑法の業務上過失致死傷罪になるかどうかの判断されている。医療者も鑑定書という形で意見は反映されているが、医療行為が妥当かどうかの判断は単一ではない。被疑者、被告となった医療者側から全く異なる見解の鑑定書が提出され、司法の場で裁判官がどちらの判断に妥当性があるかを結論づけている。しかし、医療者と患者側の紛争解決ということ面での問題点だけでなく、「何が起きたのか」という事実関係の解明という点でも限界が露呈しているのは周知のところだ。
司法が医療の是非を判断している現状は医療者、患者、そして司法にも不幸な状況だ。いまこそ、医療者の自律に向け、医療者と患者の信頼回復につながる議論を期待したい。


なんかいろいろぼそぼそしゃべってたけど,要領を得ず・・・。本人もしゃべるのが苦手だから書く商売の新聞記者になったって言ってたけど、そう言う問題じゃないだろ!ま、たいした話はしてなかったけどな。
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bosszaru21

URL | [ 編集 ] 2008/05/20(火) 23:26:39

私、そのセッション行きませんでしたが、あまり有意義な議論はされてないような感じですね。あまり外科学会には期待してませんが・・・

元外科医

URL | [ 編集 ] 2008/05/21(水) 21:58:08

小生はこのセッションに行ってきました。このメンバーであればやはりこういう結論だなと言う感じでした。
こんな案で代議員のほとんどが賛成したという外科学会の組織内部の構成には重大な
問題があると感じました。逃散済みの小生が言うのもおかしいですが刑事司法の謙抑性が担保されていない専門家の委員会で報告書など作ればそれ自身が刑事裁判の証拠となって結果的に仲間を売る結果になりかねません。制度的に刑法211条と医師法21条から臨床医を解放しない限り日本の医療の未来はありません。医学会は要求する側なのに法曹やマスコミ業界に阿っていたらいいようにやられるだけだと
思います。

田舎の一般外科医

URL | [ 編集 ] 2008/05/25(日) 21:27:13

元外科医先生,コメントありがとうございます.

> こんな案で代議員のほとんどが賛成したという外科学会の
> 組織内部の構成には重大な問題があると感じました。

おっしゃる通りです.別ルートから得た情報では会長の兼松先生も個人的には反対しているようですし,会場で座長をしていた二村先生も言葉の端々からこの第三次試案ではダメなのではないかというニュアンスが出ていました.なぜ,これだけ幹部の中にも違和感が強いのに積極賛成なのか,理解に苦しみます.

もっと言えば,外科学会会員の過半数が消化器・一般外科医であり,消化器外科学会は明確に反対しているということは,自ずと外科学会の意思表示も反対になるはずなのなんですけどね.

外科学会は今度の件で下手をすると会員の支持を失うことになるかも知れませんね.

田舎の一般外科医

URL | [ 編集 ] 2008/05/25(日) 21:28:59

bosszaru21先生,コメントありがとうございます.

元外科医先生へのコメントでも書きましたが,外科学会は今度のことで会員が離れてしまいかねないことに気づいていないのでしょうね.











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